彼が好きだった子の真似をして、花に水をあげる。
 
水のあげすぎで根が腐ってしまったのか、つぼみがついたまま咲かなくなってしまった花。
 
彼がくれた、たった一つの宝物。
 

「きれいだね」
 

もう、死んでしまっているのかもしれない。
 
それでも、毎朝、水をあげる。
 
優しく、優しく、彼みたいに声をかける。
 
緑色の葉も落ちて、枝だけになってしまった、宝物に。
 

「きれいだね」
 

でも、涙なんか落としたら、花が悪くなっちゃうね。
 
こんな自分の、涙なんか。
 
無理矢理笑って、また呟いた。
 

「ごめんね」