めりぃばぁすでぃ。 扉を開けたら、そこにあったんだ 「メリー・バースディー!!!」 時は朝。それから、メリー・バースディー。 ああ、そうか、もうそんな季節かぁ…メリー・バースディーかー、…って、ん? 今、目の前のこいつは何って言った? 確か…… “めりぃばぁすでぃ” 頭の中にクエスチョンマークが3つほど並ぶ。 「入っていいっしょ?」 聞く前から入ってるじゃねぇか。彼女の蹴散らした靴を揃える。おいおい… そんなことを思いながらも、 「早く来ないとケーキ食べちゃうよ」 という言葉にぽりぽりと頭をかいて、笑った。 「今行くよ」 んで、目の前には、ケーキ。 だけど、ただのケーキじゃない。 そこにあるのは、ホールのケーキ、しかもその上には… 『ハッピー・バースディ』という文字のチョコのプレート。 「あ…」 「どうだ!びっくりしたか!」 鼻高々に(変な言葉遣いで)言う彼女には悪いけど。 「今日俺の誕生日だったんだ」 すっかり忘れてた。 「何言ってんの!今日はめでたいメリー・バーでしょ!?」 いや、だから何なんだよ、そのメリー・バーって。 そう言ったら彼女はまるい目をまんまるぅく見開いた。 「なんでそんなことわからないの?あたし、こんなに楽しみにしてたのに。 …のため…4じか…ッ、ケーキ…つく…き…のに…っ」 まんまるい目からは涙がほろりと一粒。 きっと、『俺のために4じからケーキをつくってきたのに』、っていいたいんだろう。 長い付き合いで、そのぐらいはわかる。 「ちょっ…お前、泣くなよ…」 そう言いながら、必死で考える。 メリー・バー…メリー・バースディ… メリー・クリスマス?ハッピー・バースディ? 「わっ、わかった! 今日、クリスマスだもんな!今日、俺の誕生日だもんなっ!」 自分でこんなこと言って、こんな風になぐさめる奴も珍しい……と思う。(珍しい奴が珍しいって言っても信用できないもんな) だけど彼女はそれが嬉しかったらしく。 「うんっ!」と涙も止まって、微笑んだ。 その笑顔に俺は心底ホッとする。 こんな振り回されてばっかでもやっぱりこの笑顔を見るとうれしかったりするんだな。 そんなことを思ってる自分がいて。 でも「まぁ、俺の誕生日だし」と納得しちゃってる自分がいたりして。 何よりも俺なんかのために4時からケーキを作ってくれるなんて君しかいないから。 メリー・バースディ。 世界中に祝福を。