「寒くなったね…あと一ヶ月もしないでクリスマスか。早いなぁ…」
有里は凍える手を握り締め、指先を暖めながら歩く。
「今年も一人きりのクリスマスですか。寂しい人ですねぇ」
「うるさいなぁ…あんただってひとりでしょ。」
「残念ながら誘ってくれる方はたくさんいますよ。あなたと違って。」
隣を歩く透は、マフラーと手袋を嵌めている。

「どうせ私はモテませんよ、へーん。ていうか、その敬語何。嫌味?」
ふてくされて歩調を速める有里に、透は難なくついてくる。
「またそうやってふてくされる…だから有里はもてないんだよ。」
どっか抜けてるし、鈍いし、ドジだし、自分の事に関して適当だし……
透が挙げ連ねる自身の短所に、有里は反論できないでいた。
「今日だってそう。手袋もマフラーもしてないってどういうこと。ホラ、」

ふわり。
寒さに震える有里の首に、薄ピンクのマフラーがかかる。

「お前の母さんから。ったく、迷惑かけんな、ばぁか」
「あ、ありがと」
「はい、これもつける。寒そーな格好してんなや」
そう言って透は自分のしていた手袋を有里に渡すと、さっさと先に行ってしまった。

「くっ、クリスマス!」
追いかけながら、有里は呼びかける。
「うちで、ウイイレしない?」
「……お前なぁ…」
いくらなんでもそれは、色気なさすぎ。
苦笑する透に追いついた有里はベー、と舌を出した。
「だって、思い浮かばなかったんだもん。」