雪の日、雪の子、雪うさぎ。 ある冬の日。 空が灰色に曇っている。 私がちょうど昨日の雪で真っ白になった公園を散歩していたときだった。 「あ、雪…。」 今日もまた振り出した雪は私に昔の記憶を思い出させる。 「…あの子、今どこにいるんだろう。また会ってみたいな…。」 私がまだ小さかった頃、一人雪の積もった公園で小さい雪うさぎを作って遊んでいたときだった。ふと顔を上げると同じくらいの年の女の子が立っていて、一緒に遊ぼう、と言った。その子は真っ白なワンピースと真っ白なコートを着ていて、真っ白な靴をはいていて、それと同じくらい白い肌をしていた。 唯一、髪は黒かった。 私がいいよ、と言うと その子も私がつくっているものをまねしてつくりはじめた。 それから数年間、雪が降ったあと公園に行くと必ずいたので一緒に遊んだ。 ところが、5年目はちがった。 この年の冬、友だちをつれて公園に遊びに行った。 「あのねー、いつも雪の日だけ遊んでくれる子がいるの。」 「えー、誰それ。」 「紹介するね。」 しかしその子は公園に来ていなかった。 はじめはもう少ししたら来るだろうと思って気にしなかったが、何時間たっても来ないので帰ることにした。 その年から、結局その名前も知らない子に会うことはなかった。 そんなことを久しぶりに思い出して、なつかしいなあと思っていると公園のとある木の横に何かがちょこんとおいてあることに気がついた。 「誰がつくったんだろう。一匹じゃ寂しいからもう一匹つくろう。」 そう思って、私は久しぶりに雪うさぎを作った。 そして、それをとなりにおいた。 「あの子、元気だといいけど…。」 そうひとりごとをつぶやいたとき、どこからか“ありがとう”って声がきこえた気がした。