「あれお前、マフラー変えた?」 「はい。これ、手編みなんですよ!」 「ふうん…」 彼女の首にぐるぐる巻かれてるマフラー。俺が好きな(嫌いな、)空色。 なんだかんだで器用みたいで、なかなかよくできてる。 (なんか、むかつく) 「粗探ししたってダメですよ。ほつれひとつありませんからね!」 「…むっかつくなあお前ほんと」 「ふふん、それだけ頑張って作ったんです」 「どういう風の吹き回し?お前面倒くさがりだったろう」 彼女はふふふと笑って、幸せそうにマフラーを指先で触った。 「恋をしたので、そのおまじないです。いつか二人で巻く日を夢見て巻くのです。」 そのためにちょっと長めに作ったんですよとかなんとか、 なんだこいつ、いちいちむかつくやつだ。 「っかー!何お前、ガキかよ!それ貸せ!絶対ぇほつれ見つけてやる」 「あっガキはどっちですかっやめてくださいよ!」 ふわりと広がる空色。 ふと薫ったほろ苦さ。よく知った香り。 「…あ、れ、お前、タバコなんか吸うっけ」 「好きな人の真似して始めたんですぅ」 「ふうん、」 消えないセヴンスターの匂いを喉の奥でかみしめた。 これ、これって。 ききたいのにきけなかった、 (お前の好きなやつっておれなの、それともそいつも同じ銘柄なのって、) もしもきいたら、君は笑ってくれたのだろうか、