「うう、さむ」 こんなときスーパーマンがいたらいいと思う。 (だって あたし 絶賛迷子) 屋上から見下ろした視界にはなぜか海。 もしかしたらこれは人間の本能かもしれない。 (あたしも彼も此処から生まれたという、) ふらふら歩いていたら見知らぬ場所にたどり着いて、 自分の街といったら自宅とコンビニと彼の家までの道程しか知らないので とりあえず高い場所にと思ったら、視界一杯に夕暮れ色の海が見えたのだ。 真冬の夕暮れ。海はとても冷えた。 母親ってのはいつだって、産み落としてからは殺生なのね。 仕事で帰りが遅くなるよと電話越しに言われてもうどのくらい経っただろう。 あたしが拗ねてほっぺた膨らましながらこんな場所にいることを、彼は知る由もない。 むちゃくちゃなこと言ってるのは自分でもよくわかってる。 けどそこは愛の力とかでさあ、 やあ迷子のかわいいこひつじさんとかって迎えにきて欲しいけど (そんなキャラじゃないしね) ピロリロ!ピロリロ! 「うお、電話だ」 ひとりごとって何か切ない。 隣にいない人を思い描きすぎてる。 「........げ、」 『着信 だありん』 (なんとタイミングの悪い!?) (てゆかだありんて何だふざけすぎてるね!)←こないだ酔っ払って設定上書きした。 うわ、うわ、出なくちゃ、ああ待ってでも、いや、でも、 おまえなんでうちにいねんだよハラへったじゃねえかよ とか おまえオレのぷりんかってにくっただろ金返せむしろ吐きだせ とか、 (言う方に20円賭けれる) でもなあ探しに来てもらわないと帰れないもんね。 しょうがない、やっぱり出るか。 おそるおそる通話ボタンに親指を這わす。 「もしも 「何がゲッだあほ」 「...!!!!??」 「周り見てからしゃべれ」←隣にいた。 「ど、どどどどど、どうも」 「どうもじゃねーよ、ほら」 彼は無愛想にあたしを睨みつつ、 自分の羽織っていたシャツを手渡してくれた。 「、ごめん」 「いいけどさ」 「 あの」 「ん」 「ごめんなさい」 「いーえ」 「...」 「なあ、」 (不意にあたしの名前を呼ぶ声が透き通る) (そう彼もこの美しい群青世界から生まれて) (いつかあたしもこんな声でこの人の名前を、) 「...なに?」 きっとあたしの心の中なんてのはお見通しなんだろう。 あったかさを奪い合って生きてきたんだもの。 だからあたしはなんとなく期待して、 暮れかかる冷たい夕陽に頬を染めたりして。 「帰るか」 「......うん」 ばっかじゃねーのとあなたは笑うだろう。 彼はそういう人間だ。 (それでもあたしはこのひとからは離れられないんだと思う) (あの声で笑われたいとか考えちゃうんだ、) だからいつも会えないもんかなあって せつない愛の力借りて君を待ってるんだ。