「見ろよ!」 むき出しのコンクリ、赤く錆びた貯水槽、鉄の柵。 すべてを蹴って、跳んでたどり着いた、この町でいちばん空に近い場所。 僕しか知らないお気に入りの場所。 ここにいる時、僕の上半身は空だ。 下から吹く風が髪を逆立てる。いつも、髪の毛がスカイブルーになっていないことから、自分は地上に生きているんだと確認する。 「見ろよ!」 かざした手のひらよりも小さくなった眼下の町。 ゆっくりと、こぶしをにぎる。 グラウンドも、スーパーも、あの日よじ登った鉄塔も、自分の家も。 ぜんぶ、この手の中に閉じこめた。 「見て、みろよ」 僕は、僕自身に言う。 焼き付けられて動けない。 網膜に写った航空写真。 ここは僕の世界だ。