「さ…っ、む」 口にした言葉が全て白くなって溶けていく。 でも、行かなきゃ。 屋上の奥。フェンスに寄りかかってる君のモトへ。 彼の瞳は何処かを向いてるまま。 そっちを見れば、一本の鉄塔。 冬の空気に、寂し気に、冴々と立っている鉄塔。 「チワッス」 恥ずかしさ紛れにそんな風に言ってみたり。 「おう」 彼もどこか恥ずかしそう。 「何の、用…デスカ?」 ちょっと勘付いてながらも一応聞いてみる。 「俺と付…」 「あっ」 ここから見えた景色に、思わず声を上げる。 それは、二本の鉄塔。 一本のように見えてた鉄塔は違うトコから見れば二本でした。 なんて文章が頭の中をよぎる。 でもね、本当にそう思って、本当に心がちょっとあったかくなったんだよ。 この気持ち、伝えたい。 あたしたちもそんな風に一緒にいれたらいいね、って。 君に呼び出されたときから心は決まってた。 ずっとずっと好きだったよ、君のこと。 「もちろん」 「あたしも、好きだよ」 彼の赤くなる顔を見ていよう。鉄塔と屋上と。