「あたしときどき怖くなるよ」

なんで、と問い返そうとして言葉を飲み込む
彼女は僕のほうを見ていなかった

「あたしにいま見えているのは太陽」
「うん」
「あなたにいま見えているのは太陽」
「うん」
「でもあなたの見てる太陽はあたしにとって月かもしれない」

あたしがあなたになることはできないから分からないんだけど

「だから、本当の意味で、あたしたちは分かり合えないんじゃないかな
あなただけじゃなく、ほかの誰とでも」
「…うん」

彼女の言いたいことはよく分からなくて、
だけどなんとなく切なくてゆっくり頷いた

彼女が黙ると僕には何も聞こえなくなるけど、もしかして彼女は何かを聞いてるかも
それはすごく寂しいこと

「僕、よくわかんないけどさ」

彼女に手を伸ばし、その顔の一部である眼鏡を奪う
あ、と声をあげる彼女には構わずそれをかけた

目の前の顔はなんだかぐにゃぐにゃしてる

「いま僕には太陽と流れる雲と空が見えているよ」
「うん」
「これが、君に見えている世界?」
「……」
「だったら僕らはわかりあえるはずだ」

理屈っぽいよと笑いながら眼鏡を奪い返そうとする
彼女を抱き寄せて見えた世界は

青空、あおぞら、こわいくらい、何処までも

腕の中で彼女は泣いてるような気がした
やさしく降りそそぐ


ス カ イ ブ ル ー 、 君 と 見 上 げ て