きっと、そう。
嘘なんてものは曖昧な定義の上に立たされていて、
私とあなただって定義付けられたモノの上では不安定で。


だから、そう。
私は嘘をついたの。






「もう、別れましょう」
「……、もう俺が信じられないのか」

三日月を背景に立つあなたはひどく頼りなく見えて
思わず駆け寄って抱き締めたくなった。


だけど、私は自己中心的な女だから。


「そう、もう信じられないの」
「もう、やりなおせないのか?」
「えぇ、もう駄目なの、」
「そうか……ごめんな」


あなたが悪いわけじゃない。
あなたが、悲しむべきことじゃない。

だけど、

「元気でな」


嘘。
あなたは、嘘をついた。


そんなこと思ってないでしょう?

ねぇ、“元気でな”なんて言わないで。
もっともっと、悲しんで。
だけど、そんなこと言っちゃいけない。

「あなたも…元気で」

そう言って見送った後ろ姿。
その肩が微かに震えてた気がするのは気のせい?

「ごめんなさい」

嘘をつきました。
ほんとは、別れたいなんて思ってなかった。

それはただのエゴ。

それに付き合ってくれた彼がついた嘘。


それはやさしさ。


「ありがとう」



きっと、自己中心的な私はやさしすぎるあなたを信じることができなかったんだ
。

でもね、この言葉は嘘じゃないよ。


私のために、やさしさという名の嘘をついたあなた。
だからお願い、せめて
三日月、彼を照らしてあげて。


「ありがとう…」

あなたにはもう伝えられないけど、せめて、せめて、



“月に、届け”