「でさー…あはは!」

むしゃくしゃする。
許せない。
里久が他の奴らと話して、触れて。
大きく口を開けて笑う彼を見て、もしかしたらあんな笑顔、俺には見せたことな
んて、ないんじゃないだろうか、と考えてしまったり。

「あ、智樹!こっち来いよ!」

他の誰でもなく、俺だけに向けられた視線に喜んでいる自分を見つけてしまった
り。

「いや、俺はいいや。」

それでも、里久があんな奴らと仲良くしているのを、もっと近くで見るなんて出
来なくて。
自分がすごく、気持ち悪い。

「えー、何だよぉ。…仕方ないなぁ。」

里久はさっきまで絡んでいた奴らに、しばしの別れを告げて、俺が頬杖をついて座っている机の前に、膝立ちになった。
俺は何となく、里久から目を反らして、窓の方を見る。

「もう!お前がいないと寂しいじゃんか!」

どくん、と跳ねた心臓を気力で押さえ付けて、ちらと里久を盗み見た。
口を少し尖らせてから、ふわりと笑いかけてきた里久は、何だかとても楽しそうに見えた。

「うーん、俺もかなぁ…。」
「え、本当!?」
「うん。」

きゃーとか、わーとか、訳のわからない言葉を発しながら、緩く遠慮がちに背中に手をまわしてきた里久は、俺が優しさという名の嘘をついたことを、知っているのだろうか。
里久に対する、変な気持ちを沢山隠し持っている俺に、気付いているんだろうか
。
視界のすぐ端にうつる里久の髪を撫でて、ふとそんな無駄なことを考えた。