「積もるかもしれませんね」 お気に入りのお天気お姉さんの予想は的中。 気温の高いこのご時世にしては珍しく、白い白い雪が積もった。 そして窓の外には、まだ雪が降っている。 思わず柴犬みたいにわくわくして、 気持ちバロメータがぐんと上昇。 赤のダッフルコートの大きなポッケに 携帯だけ突っ込んで、傘も持たずに外に出る。 蒼白くひかる世界にさくさくと足跡だけ残した。 もわんと白い息をはきだして、肩に乗った雪を払う。 乾いた空気でくちびるがぱさついた。 たぶん鼻もほっぺも赤くなってて、あーもう絶対、すごいぶさいく。 (そんな私をからかうように) (白いかたまりがひとかけら、私の頬に落ちる) (だああ、もう、) 「・・・・何してんの」 「・・・。」 空に向かって大きく口を開いた直後に響いた声。 (やば、見られた。) 「雪食べてんの?小学生?」 「う、るさいなあ。食べたくなったんだもん」 「へーそー」 彼は胡散臭そうな顔でとことこと近づいてくる。 雪を踏む音が奇妙に大きく響く。 「首出しなよ」 「、へ」 「マフラー。忘れたでしょ」 片手に持ったオレンジのマフラーを私の首に巻きつける。 ぬくもりがじんわりと滲む。 「わざわざマフラー巻きに来てくれたんだ?」 「・・・顔やばいよ。筋肉死んでる」 「照れなくてもいいのに」 「、帰るよ」 ざく、と音を立てながら、彼はもと来た道へ踏み出した。 「ねね」 「何」 「晩御飯はシチュー作ってあげるね」 「いい加減ニヤけんのやめろ、気持ち悪い」 「はいはい」 (今日だけは憎まれ口も構わない気がした。) (だからしばらくは、からかいついでにニヤけたまんまで)