「ここ、かな?」
大学に通うために近くのマンションやらアパートやらを探してやっと見つけたのがここだった。
確かこの新しいかんじのアパートの11号室だったはず。
 
大家さんに合って、鍵を貰わねば。
 
コンコン。
 
「はーい。」
出てきたのは20代であろう髪がもじゃもじゃで眼鏡をかけている人。
「あの、今日こちらに引越す予定の水城です。」
 
「ああ、11号室ですね。はい、部屋の鍵。」
 
「ありがとうございます。これからよろしくおねがいします。」
 
「よろしくおねがいすます。」
 
適当にあいさつをすませ、部屋に荷物をおきに行く。
 
荷物とは言ってもダンボール箱2つ分ぐらいしかないが。
 
部屋に入ると、まだ築3年というだけあってきれいだ。
 
さっそくベランダに出てみると、隣には大きな庭があって雰囲気も…。
 
しかし、その向こうにはなんとなく暗いオーラがただようもう一つのアパートが。
 
「古いなー、大丈夫かなあのアパート…。夜とか怖そうだし。」
 
そんなことを言いながらも部屋に入って大きな鞄に入っている荷物を整理し、持ってきたインスタン
 
トのコーヒーを入れて一息つく。
春休みがあけたら大学生生活か、しみじみ思う。日も暮れてきて、そういえば上の階の方ととなりに
 
部屋の方にあいさつに行ったほうがいいのかな、と考えたが今日はもう遅いのでやめた。
こうして、春休み1日目は過ぎていった。