「ん、今日もいいお天気ね!」

カーテンを開けると、寝起きの目に太陽がしみる。
イライザはカーディガンを羽織りベランダへ出た。

この小綺麗なアパートに引っ越してきて早2ヶ月。
そして彼女はあと1年3ヶ月、ここに住むことになっている。

「あ、」

このアパートの大家が向こうから歩いてくるのが見える。
両手はポケットの中。タバコでも買いに行ったのだろうか?

「ヒロキ!」

大きく手を振ると彼はイライザに向かって微笑んだ。

「早いですね、イライザ。おはようございます」
「おはよう!ちょっと待ってて、今行く!」

彼女はタタッと玄関に駆けていくと、靴を手に戻ってきた。

「イライザ、それは危ないですから…」
「ちゃんと受け止めてね!」

そう言うとイライザはベランダの手すりに足をかけた。
数秒後、太陽に透ける金の髪。

トスッという軽い衝撃と共に彼女は「ヒロキ」の腕に収まっていた。

「もう、やめて下さいって、前にも言ったのに」
「えへへ、ごめんごめん」

悪びれもせず謝る。

「そうそう、今さっきタバコを買ったらお金がなくなってしまったのですが、」
「もう?分かったわ、今日中に用意しとく」
「ありがとうございます」

イライザは彼の肩へぎゅっと抱きついた。

「これで、また1ヶ月長くいられるのね!」


 *


「そういえば玄関のかぎ持ってくるの忘れたわ」
「合鍵がありますから」
「チェーンも閉まってるの」
「……。」