僕の、彼を呼ぶ声が、どんどん小さくなっていく。
掠れて、掠れて、喉から血が出そうなくらいに痛いのに。
相手の剣を握りしめる指に、さらに力を込める。
鈍く光る刃の感触が皮を破って、肉を裂いて、骨にまで伝わった。

「兄さん、兄さん」

ぐったりとしたまま、じわじわと血を地面に染み込ませている。
こんなになってしまった兄さんが、僕の目の前にいるだなんて。
いや、あるだなんて。

「ぅぁあ、」

爪が剥がれた指を、ぐいぐいと踏み付けられた。
自然と喉から溢れた言葉はぐしゃぐしゃで、それでも、痛みよりかなしみの方が大きくて。


僕をおいていった彼は、どこまでも、どこまでも愛しく、そして、残酷だった。

「あぁああ、兄さんっ」

蹴られて、ぐらんと頭が揺れた。
刃に写る自分は泣いていて、その向こうの兄さんは笑っているような気がした。
影で、はっきりとは見えないけれど。
なんだか目が、霞んできた。
出血が多すぎたんだろうか。


長い睫毛が、ゆっくりと頬に影を落とした。