ジリジリと、

肌が焼かれる効果音を蝉がやかましく鳴らす。
塩気を含んだ水がつぅうと首筋を流れ落ちる。
視界がぼんやりとするのは蜃気楼のせいなのか、頭が茹だっているせいなのか。
どっちだっていい。体全体が焼けた鉄になったみたいだ。
思考することを放棄した僕はロボットのようにただ足を動かす。
(暑い、暑すぎる。まだか、まだ着かないのか)
「暑い」と「まだか」を馬鹿みたいに反芻し続ける僕の脳。

ポォオン、

視界に小さな太陽が飛び込んできた。
咄嗟にそれを捕まえる。
黄色いビニール製のボール。
見ると、3歳ぐらいの子どもがよちよちとこちらによってくる。

「はい、どうぞ」

屈んで手渡してやれば、子どもは間抜けな顔をしながら、

「ありがとう」

と一言だけ言って、来たときと同じようによちよちと歩いて行く。
その先には8歳ぐらいの少年。
彼は僕にぺこりとお辞儀をしてから、弟に駆け寄った。

彼は弟からボールを受け取ると、
それを空に放り投げた。

上昇してゆく。
ふわり、と一瞬止まったかのように見えた。
下降してくる。

彼はそれを捕まえようとはせずに、黒いアスファルトの上に落下するのをただ見届けた。

ポォォオン、

黄色が跳ね上がる。
そしてまた、
上昇し、
停止し、
下降し、

ポォオン、

再び跳ね上がる。
上昇し、
彼はそれを見詰める。
停止し、
彼の弟はそれを追い掛ける。
下降し、

そのとき、一滴の汗が背中を転がった。
僕はぞくり、と身を震わせた。