そして、夕暮れ

太陽はもう半分も沈んでしまって
さっきまで鳴いていたカラスもぽつりぽつりといなくなって

これからどこか私の知らない世界にいってしまう


それはまるで彼と彼の新しい恋人の、ことみたいで
小さな女の子みたいに嘘が下手な私はもう笑うしかない、
わらうしか





彼は


「ごめん、今日も遅くなる、ほんとごめん」


犬みたいにしょんぼりするのがとてもかわいらしかった


「ねねね、こっち見て一回笑って?」



子供のおもちゃみたいにカメラをこっちに向けてきて
その後に見せる真剣な顔とのギャップにどきっとしたの。



彼は


「お願い!一回だけでいいの、ねっ!」


ふわふわゆれる白いうさぎ耳のカチューシャにちょっとだけ引いていた私を
どうにか説得しようとする顔と言葉が可笑しかった。




彼は



「もう、なんとなく、気付いてるんでしょ」



オレンジ色の空を見ながらそんな風に、小さい声で言ったね

びっくりするぐらい悲しそうに笑ったね

笑ったね

笑ったね

普段嘘つくのがすごく得意なくせに、あなたはわざとへたくそに言ったね



嗚呼、はは、は
やっぱり彼は優しかった
最後の嘘が一番、優しかった



「きっとその子に優しくしてね」


世界中で1番幸せな女の子をどうか作ってあげてね


優しい人

優しい人



「あ、う、うん」


「、まだ言わないで。最後に私に、なにかちょうだい?」


「・・・・・・・、ごめん」




そう言って抱きしめられている暖かさとその力の強さと彼の優しさに


嘘をつくのがとびきりへたくそな私は



「・・・・ばか、」



どうしても止まらない涙を彼の指が何度も拭っていくのを見送っていた




(明日の貴方はもう愛せないから、)(へたくそな私たちで終わろう)