「……何ですソレ。」
「植物。」
少女は薄い靴下に包まれた細い足をゆらゆらと泳がせて話す。
 
「ガラス玉でしょう? 大きな。」
細い足の先には厚底靴が彼女の細い体に似合わず重くゆれている。
 
「ガラスにね、土と植物が入ってるの。」
その様はまるで拘束具につながれているようで。
 
「この中でね、植物を育てるのよ。」
僕はそれが嬉しくて。
 
「空気はどうするんでしょうね。」
彼女はそれに気付いているのか、いないのか。
 
「箱庭みたいですね。」
二人しか居ないココで僕を見ないで。
 
「かざられた世界でも綺麗なら……。」
彼女の細い腕がのびて。
 
「ガシャン。」
彼女の白い指がガラスを離した。
 
「ガラスが割れたら世界は壊れるのかしら。」
彼女は僕を見て。
 
「違うわ、新しい世界が広がるんだわ。」
僕は一歩退がって。
 
「植物にガラス玉はせま過ぎる。」
彼女が扉から出て行って。
 
僕の世界は壊された。
 
割れたガラス玉からこぼれる土に植物が埋っていて。
 
彼女の世界も壊された。