(ああ、だめ、やっぱり)

(私はひとりなんかじゃいられないのに)



(なんで言っちゃったんだろうあんなことを。)




不安など光にかすんでしまっていた日が
もう戻らないなんて言わないで。
雨が強く降っている。
言い放ったさようならの破片が
まだこの部屋の空気中に彷徨っている。



ずきん。 
今彼が隣にいたら、
少しハネた前髪を気にしながら
イライラとしているかな。



ドアノブが、銅色のドアノブが
廻ってくれればいいのに

そうしたらここにある不安は恐怖は
(全部どこかに、)


震える私の背後から
その煙草にかすれた声が降ってきたら

そしたら、


腫れてしまった目で微笑んで
お帰りって言うから
あなたは黒い髪をぐしゃぐしゃ掻きながら、



「仲直りしようか、」