“ねぇ、“お話しようよ”



生まれたころから、アリスは私の側にいた。
私の喜びも、哀しみも、全てを理解してくれた。
“どうしたの?”
彼女は決まってそう言った。
私は毎日のようにアリスと話した。

あたしね、きょうからようちえんにいくの。
ちゃんとかえってくるから、まっててね、アリス。

アリス、みほちゃんとけんかしちゃったよ。

アリス、わたし、お勉強がんばるからね。

アリス、アリス!私、テストで100点とったの!


アリス・・・




アリス・・・





アリス・・・



でも、いつの日かきこえなくなってしまった。
アリスの声が。
アリスは背を向いてしまった。
私が?






たんすを整理していたら、彼女を見つけた。
ほこりまみれになった人形。

「ねぇ、アリス。どうして話せなくなっちゃったろう?」

私はアリスを持ち上げて、言った。




“それは、貴方が大人になった、そういうことよ。”

確かに、そう聞こえたような気がした。


ありがとう、アリス。